売る人へ(プロ)
ブレンドの作り方と原価設計
配合で味を作り、原価を決める
ブレンドは「余った豆を混ぜるもの」ではありません。単品では届かない味を、狙って作るための設計です。そしてもう一つ大事なのが、原価をコントロールできること。高い豆の個性を活かしながら、原価を現実的な水準に収める——それがブレンド設計です。
ブレンドする理由は3つ
- 味の幅を作る…単品の尖りを補い、酸味も甘みもコクもある一杯にする。
- 味を安定させる…単品は収穫年で味が変わる。複数使うとブレを吸収できる。
- 原価を設計する…高い豆を少量、安定した豆をベースに。個性と原価を両立できる。
設計の基本:ベース7割、アクセント3割
いきなり5種類混ぜると、何が効いているか分からなくなります。まずは2〜3種類から。役割で考えると迷いません。
- ベース(50〜70%)…土台。クセが少なく安定した豆。ブラジル・コロンビアなど。原価も抑えめ。
- ボディ(20〜30%)…コクと苦味の厚み。マンデリン、深煎り向きの豆。
- アクセント(10〜20%)…香りと酸味の主役。エチオピア、ケニアなど。少量でも効く=高い豆はここに。
比率の決め方
- まず単品で飲む。混ぜる前に、それぞれの味を知る。知らない豆は設計できません。
- ゴールを一言で決める。「ミルクに負けない、甘い深煎り」など。言葉にすると比率が決まります。
- ベースを決めて7割入れる。土台がブレると全部ブレる。ここは安定重視で。
- 残り3割で調整する。10%刻みで動かす。1%刻みは、まだ違いが分かりません。
- 焙煎は「別々に焼いて、後で混ぜる」。豆ごとに適した焙煎度が違うため。慣れるまではこれが確実です。
→ 豆ごとの味の傾向は コーヒー豆の選び方 を参考に。
ブレンドの原価は「加重平均」で出る
ここが本題です。ブレンドの原価は、それぞれの豆の「焙煎後の原価/g」に比率を掛けて足すだけ。難しくありません。
※各豆の「焙煎後の原価/g」は、生豆の原価/g ÷ 歩留まり率 で出します(→ コーヒー1杯の原価計算)。
| 豆 | 役割 | 比率 | 焙煎後の原価/g | 原価への寄与 |
|---|---|---|---|---|
| ブラジル | ベース | 50% | 2.5円 | 2.5 × 0.5 = 1.25円 |
| マンデリン | ボディ | 30% | 3.5円 | 3.5 × 0.3 = 1.05円 |
| エチオピア | アクセント | 20% | 4.5円 | 4.5 × 0.2 = 0.90円 |
| 合計 | — | 100% | — | 3.20円/g |
つまりこのブレンドは3.2円/g。100g袋なら原価320円、1杯15gなら48円です。エチオピア単品(4.5円/g=100gで450円)より130円安いのに、華やかさは残る。これがブレンドの原価設計です。
原価を下げたいときの動かし方
上の表で「アクセントを20%→10%、ベースを50%→60%」にすると、原価は 2.5×0.6 + 3.5×0.3 + 4.5×0.1 = 3.0円/g。100gで20円下がります。比率を10%動かすだけで、原価はこれだけ動く——数字で見えると、値付けの打ち手が増えます。
やりがちな失敗
- 余り豆を混ぜる。それはブレンドではなく在庫処分。味が毎回変わり、リピートされません。
- 種類を増やしすぎる。4種以上は違いが分からなくなり、原価管理も破綻します。
- 比率を記録しない。「美味しくできた」を再現できず、商品にできません。
- 原価を見ずに配合する。できてから原価を計算して、売価が付けられず作り直し——よくある話です。
二ハゼのブレンド機能なら、仕入れた豆を比率で配合するだけ。各豆の焙煎後原価から加重平均して、ブレンドの原価/g・100g原価・売価の目安まで自動計算。レシピとして保存もできます。
まとめ
ブレンドはベース7割+アクセント3割から。2〜3種類で、10%刻みで動かす。原価は各豆の焙煎後原価/g × 比率の合計(加重平均)で出ます。高い豆はアクセントに少量——これで個性と原価を両立できます。そして比率は必ず記録を。
- コーヒースケール(0.1g)比率は重さで決める。0.1g単位だと再現性が段違い。
- 生豆アソート(数種類)ベース・ボディ・アクセントを少量ずつ試せる。設計の練習に。
- ブラジル生豆(ベース向き・1kg)クセが少なく安定。ブレンドの土台にしやすい。
- キャニスター(複数)豆ごとに分けて保存。配合前の管理がラクになる。