売る人へ(プロ)
コーヒー1杯の原価計算
生豆から、一杯のコストを出す
「この一杯、いくらの利益が出てるんだろう?」——コーヒーを売るなら、まずここが分からないと値付けができません。実は原価計算は3ステップだけ。ポイントは、焙煎で豆が目減りすることを計算に入れることです。ここを忘れると、原価を安く見誤ります。
なぜ「生豆の値段」だけでは足りないのか
生豆1kgを3,000円で買ったから1gは3円——そう思いたくなりますが、違います。焙煎すると水分が抜けて豆は15〜20%ほど軽くなるから(深く煎るほど大きい)。1kgの生豆を焼いても、手元に残るのは800〜850gほど。つまり売り物になる豆の原価は、生豆のときより高いんです。この目減り後に残る割合を歩留まり(ぶどまり)と呼びます。
- 生豆の原価/g = 仕入れ金額 ÷ 仕入れたg数
- 焙煎後の原価/g = 生豆の原価/g ÷ 歩留まり率
- 1杯の原価 = 焙煎後の原価/g × 1杯に使うg数
実際に計算してみる
生豆1kgを3,000円で仕入れ、焙煎したら850g残った(歩留まり85%)。1杯に15g使うとします。
| ステップ | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| ① 生豆の原価/g | 3,000円 ÷ 1,000g | 3.0円/g |
| ② 歩留まり率 | 850g ÷ 1,000g | 85% |
| ③ 焙煎後の原価/g | 3.0円 ÷ 0.85 | 約3.5円/g |
| ④ 1杯の原価(15g) | 3.5円 × 15g | 約53円 |
| ⑤ 100g袋の原価 | 3.5円 × 100g | 約353円 |
生豆のまま計算すると1杯45円ですが、実際は53円。この8円の差が、歩留まりを無視したときの見誤りです。1日50杯出すお店なら、月に1万円以上ズレます。
焙煎度によって原価は変わる
深く煎るほど水分が飛ぶので、歩留まりは下がります=深煎りほど原価は高くなる。同じ生豆でも、浅煎りと深煎りでは原価が1割ほど違うこともあります。だから歩留まりは「だいたい85%」で固定せず、ロットごとに実測して記録するのが正解です。
| 焙煎度 | 歩留まりの目安 | 焙煎後の原価/g(生豆3円/gの場合) |
|---|---|---|
| 浅煎り | 88% 前後 | 約 3.4円 |
| 中煎り | 85% 前後 | 約 3.5円 |
| 深煎り | 80% 前後 | 約 3.8円 |
見落としがちなコスト
豆の原価が出たら、それは「材料費」です。実際に一杯を売るには、これ以外もかかります。値付けの前に、ざっと見ておきましょう。
- ロス(不良豆・テスト焙煎)…ハンドピックで弾く分、味見の分。数%は必ず消えます。
- 包材…袋・ラベル・シール。100g袋なら1枚数十円は見ておく。
- 水道光熱費…ガス代、電気代。焙煎は意外と燃料を使います。
- 提供コスト…カップ、フィルター、ミルクや砂糖(ドリンクとして出す場合)。
- 自分の時間…焙煎・梱包の手間。ここを0円にすると、続かない値付けになります。
原価が分かると、何が変わるか
原価は「守り」の数字に見えて、実は攻めの数字です。原価が分かれば、値引きしていい限界、高い生豆に切り替える判断、どの豆がいちばん儲かっているか——全部が数字で見えるようになります。勘で売っている人と、ここで差がつきます。
二ハゼのプロ機能なら、生豆の仕入れ値と投入量・焙煎後の量を記録するだけで、歩留まりと焙煎後1gあたりの原価を自動計算。ロットごとの粗利や月別の収支まで見えます。無料。
まとめ
コーヒーの原価は「生豆の原価/g ÷ 歩留まり率」=焙煎後の原価/gから始まります。焙煎で15%前後は目減りするので、生豆の値段のままでは原価を安く見誤ります。歩留まりはロットごとに実測して記録し、包材やロスも足したうえで値付けに進みましょう。
- コーヒースケール(0.1g)投入量と焙煎後の量を正確に。歩留まりの精度がそのまま原価の精度。
- 生豆(1kg〜)まとめて仕入れるほど原価/gは下がる。まずは1kg単位から。
- コーヒー袋(バルブ付き・100g)包材も原価のうち。売るなら単価を把握しておく。
- 業務用スケール(〜3kg)仕入れロットの計量に。大きい単位を測れると管理がラク。